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ヒーローショー!

本日、新宿角川シネマにて「ヒーローショー」観てきました。

井筒和幸監督の最新作で、ジャルジャルが主演のアレです。
ツイッターなどで、話題になっているのに影響されました。

結論からいうと、すっごく良かった!!!
世間は賛否両論で、7:3で否が多いとのことですが、私は断然支持!
観終わった後、すっきりするわけでもなく、妙に心に残りました。

ここからちょっとネタばれします。観てない人はごめんなさい。


ストーリーは、どーしようもなく情けないフリーター、ユウキがしょーもない喧嘩に巻き込まれ、それがエスカレートし殺人事件がおきてしまう、というもの。
殺人事件が起きるまでが前半で、後半はジャルジャルの二人のロードムービー的な要素も出てきて、これがまた良い。(ジャルジャルの二人は元々敵同士だが、殺人事件の始末のために共に行動するようになる。もっとも福徳の方はただ巻き込まれただけだけど。)
ジャルジャルはなかなかの演技を披露してますよ。素晴しいキャスティングだと思う。
喧嘩を起こすチンピラたちは、実際に自分の目の前にいれば、おそらく嫌悪以外何も感じないだろうな、という馬鹿ものだらけで、こんな奴らだったら調子乗って殺人事件起こしちゃっても不思議はないと思った。そしてこういう若者は、私の身近にはいないが、きっと世の中にはゴロゴロいる。

つまり充分あり得る、けど道徳的にあり得ないことが起きる。
これがすごくリアルで、映画が心に残った理由かもしれない。
ふつう映画で起きる殺人事件は、鮮やかともいえる計画殺人だったり、殺人者に同情してしまうような動機があったり、精神的に異常だったりと、ちょっと自分と距離のある世界で起きることが多いのに、ヒーローショーのそれは、まったくいきあたりばったりのかっこ悪い殺人だった。(殺人にかっこ悪いもいいもないけれど)
そのダメさの徹底ぶりがすごいです。理由も最低だし、殺人の仕方も最悪。行動その他もしかり。
ダメすぎてはらはらドキドキします。

でも、ただ殺人をみていることしかできなかった主人公ユウキ(福徳)には、映画を観ている多くの人が共感しちゃったと思う。「やっべー」「こえー」「もー最悪…」という心の声がひしひしと伝わる。そりゃそーなるよね。本当のヒーローにはなれんよ、リアルにこんな場面で。
どーしようもない奴として描かれてるけど、自分のダメさ加減に失望する痛みは、多かれ少なかれ誰もが持っているんじゃないでしょうか。
私は当然いわゆる勝ち組でもないし、主人公みたくだらしない所もあるので、余計に共感したのかもしれないけど。そしてそういう痛々しさを愛しくさえ感じてしまうのです。

最後ふいに涙が溢れて自分でもびっくりしました。言葉にできないけど込み上げるものがあった。
「感動」とも違う、「面白い」とも違います。
でも「ヒーローショー」はすごい映画だと思います。
まだ未見の人、映画館へ走って!

券売のねえちゃんから「席どこにしますか?ガラ空きですけど」と言われた時の寂しさったらないんだから!
by nicolaus_92 | 2010-06-24 02:53 | おすすめ